松陰が生まれ育った松本村という土地の風土、歴史を徹底的に調べ上げた労作。
他に類書が一切無い異色の松陰研究書。
松下村塾をめぐりて
 福本 義亮
 マツノ書店 復刻版 *原本は昭和32年
   1998年刊行 A5判 並製(ソフトカバー) 函入 224頁 パンフレットPDF(内容見本あり)
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■福木義亮(号・椿水)は、現在の萩市椿東に生まれ、神戸の実業界で活躍した。とくに同郷の先輩である吉田松陰に対する傾倒ぷりは他の追従を許ざず、私財を投じて遣墨や関係史科を収集し、著述、講演活動も精力的におこなった。戦前の、在野における松陰研究の第一人者であり、松陰研究史は福本の業績抜きには語れない。

■二十点ほど出版ざれた福本義亮の松陰に関する著作のうち『松下村塾をめぐりて』は、とくに他に類書が一切無い異色の松陰研究書であるといえよう。昭和11年秋新嘗祭の日に初版が、同32年9月に改訂増補版が、いずれも福本の自費出版として世に出た。現在では希覯本であることはいうまでもない。このたぴ復刻するのはその「改訂増補版」である。

■『松下村塾をめぐりて』は、松下村塾、松陰神社を中心に、松陰が生まれ育った松本村という土地の風土、歴史を徹底的に調べ上げた労作である。これは地元出身の福本なればこそ出来た、唯一の『松本村史』とも呼べる内容である。

■「松下陋村といえども誓って神国の幹となさん」とは松陰の有名な言葉である。その言葉通り、松陰がたった二年半主宰したにすぎない松下村塾からは、高杉晋作、久坂玄瑞をはじめとする、暮末から明治にかけて活躍する多くの人材を輩出した。それも全国から優秀な人材を集めてきて教育を施したならまだしも、彼らはすべて近所の少年達に過ぎなかったのだ。松本村という土地の個性を知らなければ、松陰や松下村塾を理解することはとうてい出未ない。

■福本の祖父も父も長州藩士として数々の維新の戦いに参加している。福本の世代にとって維新史は身近なものであり、それだけに本書でしか読めない数々の秘話が満載である。

■福本義売主要著作目録
『松陰先生交友録』『踏海志士金子重輔傅』『吉田松陰の殉国教育』
『松下村塾偉人 久坂玄瑞』『吉田松陰 孫子評註訓註』
『訓註 吉田松陰殉国詩歌集』『訓註 留魂録』『松陰余話』
『照顔録訓註』『幽囚録訓註』『坐獄日録訓註』『読綱鑑録訓註』
『吉田松陰之最期』『吉田松陰の母』『下田に於ける吉田松陰』
『吉田松陰大陸南進論』『吉田松陰愛国教育』『湊川一死』
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『松下村塾をめぐりて』  略目次
 行楽一日の松本
 昔の渡場たる船津
 丘陵に立ちて
 萩・松本地名考
松下の悌
地雷火を試用した扇の芝
鯉鱗の松本大橋
小松陰と呼ばれた品川弥二郎
茶匠休和の花月楼
志士の盟主 来原良蔵
踏海決士 金子重輔
中島の蓮池と大公望
明治大帝侍従武官長 岡沢精一
松門の文章家 馬島甫仙
粟田山自刃の松門勤皇画士 松浦松洞
五百羅漢の通心寺
台湾開拓功労者 賀田金三郎銅像
伊藤博文の参籠せし下山天神
松門の傑僧釈提山
松陰神社
米誉は高し殉国門生の松門神社
杉家の人々
禁門の闘士 阿座上正蔵
薩長土聯盟・放火の聖地
松下村塾の維持者 久保五郎左衛門久成
松門の智者 久保清太郎
池田屋事変の闘士松門の吉田稔麿
整武隊々長松門の駒井政五郎
奇兵隊士松門の岡仙吉
教育功労者 信国顕治
兄弟三人松門の佐々木亀之助
伊藤博文旧宅跡と銅像建設由来
金鋳原大筒鋳造の跡
追放僧宝洲実如
玉翁門の偉傑司法・文部両大臣 宍戸たまき(※王へんに幾)
連歌師 里村玄陳
玉翁門の俊才 浅野往来
松門の蔵書家歌人 瀬能正路
松陰先生の母方大人 児玉祐之
吉田家と松陰先生養父 吉田大助
心学婆さんの赤穴辰之進
私塾先生渡辺松菊園
松門兵学生藤野荒次郎
悲憤別涙の松門 倉橋直之助
晩年名村長となった口羽寿次郎
松陰先生終生の師 玉木文之進とその弟子乃木将軍
藩医岡田以伯と十歳入門のその子耕作
奇兵隊総督高杉晋作・潜伏の跡
松陰先生叔母の宅 佐々木孫右衛門
松緑焼と名工 大和作太郎
松陰先生誕生地・樹々亭跡
杉・玉木・久坂家墓地
吉田家墓地と松陰先生百日祭
松籟颯々たる勤皇烈士の墓所
風雅掬すべき東光寺焼
護国山東光寺と藩公御廟所
甲子殉難招魂碑と辞世の詩歌
台湾教育の犠牲者 楫取道明
耶蘇の大木とビリオン神父
円福院と七観音
春月の上野山
松門の内務・司法両大臣山田市之允
松下村塾の後継教頭 塩田寅助
隠れたる儒者 落合虚舟
越後出雲崎で傷死した堀潜太郎
松下村塾の後継者 小田村伊之助と弟小倉健作
野山十一烈士 松島瑞益
天文学者の松本源四郎
東源山明光寺
幽境和楽の人丸神社
狂歌師内藤白露園
唐人山と天樹公
萩焼本流の坂窯
手水川刑場と栗山孝庵の解剖
霊顕不思議なる金峰権現社
長門三十三番順礼御札所金峰山徳蔵院
花園院にゆかりの入道原
花園上皇の勅願所広巌寺
狂女の神託による諏訪大明神
俳人 入江護石
海防僧月性と東谷山明安寺
奇儒 高橋楽水
藩窯三輪の萩焼
喝宗和尚の吉祥山長慶寺跡
蓬莱園に子弟を養ふ松門黒瀬安輔
酒瓢を枕にした奇行画人 福井松倦
幕末の郡司大砲鋳造所跡と、つきとめ明神
松下村塾の前身高洲為之進の宅
蘭学三年の松門 斉藤彦四郎
奇兵隊参謀 林半七
軍政家岡市之進と維新討幕の錦の御旗
中央気象台創立者 中村精男
香川津二孝子終焉の地
勤皇画士 森寛斉
奇兵隊運送方松門の伊藤伝之助
松陰先生を世話した野山獄卒 臼石孫助
松陰先生と地勢論
(附録)
松陰先生年譜略
杉・吉田・玉木略家系
松陰神社建設由来