中・近世史の研究に不可欠
日本の古文書中の白眉

萩藩閥閲録全6巻
山口県文書館編
A5判クロス装上製函入・約5150頁
全6冊・分売不可
(平成6年刊)

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内容見本
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刊行に際して
▼日本の古文書中の白眉として知られる『萩藩閥閲録』(原本名「閥閲録」)は、毛利家家臣を中心とした諸家に伝わる古文書と系譜の一大集成である。本書は、毛利氏をはじめ大内氏・尼子氏など戦国における中国地方諸豪族の興亡や、織田・豊臣両政権との関係を知る上で不可欠の史料である。また山内首藤・村上家など、鎌倉・南北朝期の文書も豊富に含まれているため、中世・近世のいずれの研究者にとっても必携の史料集ということができる。

▼本書は享保五年、時の藩主毛利吉元が、御内用掛の永田瀬兵衛政純に調査を命じ、家中から上申させ、享保十一年に編集浄書が完了したものである。

▼第一巻から第四巻には正編を収録している。一門、家老、大組、手回組、足軽、陪臣、厩之者、医師、絵師、細工人といった藩士の各階層から、百姓、町人に至るまで、多岐にわたる内容を有する。第四巻には、あわせて同時期に永田瀬兵衛が防長両国の主要寺社についての縁起や古文書を調査収録した『閥閲録・別編』ともいうべき『防長寺社證文』を収めている。第五巻の「閥閲録・遺漏」は幕末期に、収録漏れの諸士、医家、寺社、農商家を調査し、収集追加したものである。

▼山口県文書館では、館をあげての大事業として、昭和42年、本書を初めて活字化。『萩藩閥閲録』と命名して刊行し、全国に大きな反響を呼んだ。その後昭和54年に再版され、昭和61年には利用者の要望にこたえて、新たに『別巻』(索引編)を加えた第三刷が刊行された。その間、広島県のある印刷業者が本書を無断で復刻し、物議をかもしたこともある。

▼この度の第四刷は、既刊の「正誤表」を付し、装幀も一段と豪華な「500部限定・番号入」の決定版である。

『萩藩閥閲録』刊行の意義

東京大学史料編纂所所長・東京大学教授 竹内理三

『萩藩閥閲録』は長州藩主毛利家が、家中の諸家諸士の伝来する文書を書き上げさせて集成したものである。
その初回は享保七年で、収むるところの文書は、遠く鎌倉南北朝時代から、下って近世初期の元禄前後に及び、その所持者は789家、巻数は170巻に達している。その後、寛保・元文年間には「萩藩譜録」と称して増補され、数量はさらに多くなった。

日木の古文書に最も精通された故東京大学史料編纂官・相田二郎氏は「かほど大部の古文書を収録したものは他に類がない」と特筆されている如く、その量においても、江戸時代、幕府諸藩で盛んに行なった古文書集成のうちでも最大の内容を持っているが、そればかリではない。毛利氏が、その家臣のうちに多数の大内氏の旧家臣や、中国筋古来の士豪武士を包容しているところから、南北朝から戦国期にかけての中国の形勢を知るうえに、この上ない史料集となっている。

中世の中国地方についての史料としては、これまでにも筆者の奉職している東大史料編纂所から、『古川家文書』『小早川家文書』『毛利家文書』などが刊行されている。これらは、中国地方の中世史のみでなく、中世の武士団について貴重な史料として学界に利用されてきた。

しかし、今同の『萩藩閥閲録』の刊行は、これら既刊のものでも明らかにできなかったいろいろな面を明らかにすることに大いに役立つであろう。とくに今回の刊行にあたっては、原本の現存するものは、原本によって校合されるという。大いに待望される所以である。
【昭和42年・初版の推薦文より】
全国的な視野においても貴重な書物

広島大学教授 福尾猛市郎

 『萩藩閥閲録』は徳川中葉の享保五年、藩主吉元公が永田政純に命じて藩内諸家別に調査編集せしためた古文書と系譜の集大成である。
幕府でも他藩でも家臣の譜録類の編集は珍しくないが、その多くが家臣団の把握のみを目的としているのに対して、「閥閲録」の特色は家臣に準ずる、医師・技術者・有力町人・百姓まで含めていること、家蔵文書の原文を収録して領内所在の史料を集める意味を兼ねていることなどである。

また毛利氏は戦国末期から関ケ原に至る間は中国十州にまたがる大大名であったから、家臣の出自はそれらの諸国、さかのぼっては東国地方にも広く分布していること、彼らが毛利家臣に編人されていく経緯や、束国出身者のばあい現地では伝説的なことしかわからない中世の諸事実が文書原文を通して明らかにできることなども、本書の価値を大ならしめている。

したがって中世・近世の史料集として、全国的視野においても貴重な書物であり、ことに戦国から近世への推移を、政治的支配、社会経済の具体的史実で物語ってくれるパノラマというべきであろう、それは国史の研究者にとって必須の書であるばかりでなく、歴史全般に関心をもつ読者層にとっても座右に備えて有用の善となるであろう。
【昭和42年・初版の推薦文より】

東国御家人から瀬戸内水軍まで

福山大学教授 河合正治

本書は、毛利氏家中諸家の古文書と系譜を集成したものであるが、同氏が西国最大の戦国大名として活躍したため、家巨の出自は中国筋一帯に及んでおリ、東国を本貫とするものもある。そのため、内容は東国御家人や内海水軍の系譜を引くものなど幅広く、家臣に準ずる技術者・商人のものまで含んでおり、鎌倉時代から近世初期に至る武家文書集成中の白眉である。
木書の刊行によって多くの史実の発掘や研究の推進がなされたことは学界周知のことであリ、同時に民問諸家のルーツ調査にも重宝されている。
ところが本書の入手は困難となり、復刊が待望されて久しい。このとき、厳密な校訂によって当初の刊行を成し遂げられた山口県文書館が、みずからいっそうの便をはかって、新たに作成された案引を「別巻」として加え、復刊されることはまことに慶ばしいことである。本書が研究者はもとよリ、ひろく歴史に関心をもつ読者層の座右に置かれて活用されることが期待される。
【昭和61年・第三版の推薦文より】