全国各地に渡って渉猟した
大内氏関係の語録・詩文、経学など
根本史料の自筆稿本

北辰餘光
(ほくしんよこう)


御薗生翁甫編
(みそのうおうほ)
B5判上製函入・790頁
(1986年刊)

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北辰光輝

国学院大学教授 米原 正義
北辰(北極星)降臨の伝承からはじまる周防大内氏は、七か国の守護を兼ね、西国随一の強勢を誇る一方、中世武家文化の典型で、王朝古典、五山文学などの花は領国に咲き乱れた。御薗生氏は、こうした日本文化に偉大な足跡を残した大内氏の研究が、明治の近藤清
石翁以来中断していることを歎き、関係史料の散乱に眼を向け、史料収集に尽力され、そのうち経学・詩文などに係わるものを写本三冊として完成し、『北辰餘光』と題された。それは北極星の余徳で生まれたとの意であろう。昭和八年のことであった。
 今回、徳山市のマツノ書店から、その『北辰餘光』の著者自筆影印本が公刊されるという。後学にとってまことに意義深く、北辰はいよいよ光り輝くであろう。
 大内文化に興味をもっていた私が、昭和29年8月、山口県地方史学会の象徴である御薗生氏を訪ねたとき、大内氏の基礎的研究の必要性を力説されたことを、今もあざやかに想い浮かべる。その基礎史料に埋まる『北辰餘光』の刊行は、大内文化の研究に多大な
裨益をもたらすものと信じて疑わない。

大内氏史料の宝庫

山口県地方史学会会長 臼杵華臣
 山口県地方史学界の至宝と仰がれた御薗生翁甫先生が、91才で天寿を全うせられたのは、昭和42年3月7日のことであった。退官後の半生を防長地方史の究明にかけ、透徹した史眼と精励倦むことなき努力によって、『防長地名淵鑑』『防長造紙史研究』等の大著をはじめ数々の著作や稿本を世に送られた。いずれも新分野の開拓であり、それぞれ新機軸をなすものとして高く評価せられている。

 しかし、何といっても先生の本領は大内氏時代の研究にあった。山口県下はもとよリ全国各地にわたって、大内氏関係の古文書・記録・銘記・遺文等の根本史料を細大となく渉猟し、つぶさに関係の遺跡・遺物を探査して、緻密で鋭利な批判と周到な考証をもって、独創的で明快な論断を下し、不朽の名著『大内氏史研究』を世に問われた。

 『北辰余光』は先生の集収史料の内、特に大内氏関係の語録・詩文・経学関係資料を集録せられたものであリ、これはまさに大内文化研究の基礎史料の宝庫である。昭和八年の完成であるが、その自筆稿本を山口県立図書館に寄贈して一般の利用に供せられた。多年苦心収集の史料を、学問の進歩のため敢えて惜しみなく提供せられる態度は一寸真似のできないところで、その意義と価値は大きく、学界同人・郷党挙げて感謝し、ひとしく尊敬して止まないところであった。

 いまここに、マツノ書店から先生の自筆稿本が影印本として、公刊せられる。先生の真摯にして峻厳な学問的真面目に直にふれることができることは何よりも有難く、感銘を深くするところである。