防長郷土史料目録
 山口県立山口図書館編
 マツノ書店 復刻版 *原本は昭和4年
  2001年 B5判 並製 124頁 内容見本
 ※価格・在庫状況につきましてはHPの在庫検索よりご確認ください。
 ホームページへ
防長郷土史料目録について
◆『郷土志料目録』(B5判50頁)は山口県立山口図書館所蔵の史料を分類整理し、昭和4年に刊行されたものである。
◆その3年後に本目録の「追加第一」(B5判28頁)が刊行された。
◆「追加第二」(B5判40頁)は昭和8年、県立山口図書館創立30周年記念に出版された。当時県から図書館に委託された「藩政時代旧記目録」及び「山口・小郡両宰判旧記録目録」を収録した基本目録である。
◆三点とも、今や県内の公共図書館でさえ知られていない希書である。今回この3点を合本して『防長郷土史料目録』と改題して復刻する。
◆掲載史料数は刊本1545点、写本1644点。本書は「山口県史料」の精髄を垣間見せてくれると同時に、研究者を粛然とさせるに充分な目録といえよう。


山口県史料の奥行きと広がり
   元山口県文書館専門研究員 田村 哲夫
 『郷土志料目録』は、山口県における郷土史研究の基礎となった貴重な目録である。
 明治三十六年、山口県立山口図書館の創立と同時に館長になった佐野友三郎は、「巡回文庫」の創立、「書架の開放」、「十進分類法」の推進など、さまざまな画期的改革を全国へ発信し、日本図書館界の第一人者といわれた。
 「郷土史料の収集」もその一つであった。彼は「集めた史料は一般書とは別に分類整理し、独立した場所で保存活用すること」を主張し、率先実行した。
 佐野館長を補佐し図書館資料室の顧問格として郷土史料収集に力を寄せたのは、名著『大内氏実録』『山口県風土誌』などの著者としても知られる近藤清石翁であった。
 山口県が郷土史料の収集において全国に類のない実績を上げることができたのは、翁の力に負うところが非常に大きいといわれている。
 昭和四年、県では皇太子行啓を記念して図書館を新築すると同時に、この『郷土志料目録』を出版した。その後昭和七年に「追加第一」を、昭和八年には郷土史の根本史料目録といわれている「追加第二」を刊行した。これらはすべて本邦初の試みであり、山口県立山口図書館が明治以来、日本の図書館界をリードしてきた証でもあった。
 戦後、この目録にある膨大な史料の中から「閥閲録」「風土注進案」「地下上申」「古器考」「郡中大略」などの「写本」を独立させて、全国初の文書館として知られる「山口県文書館」新設の基とした。その際、豊富な史料が集まっているだけでなく「目録」まで完成しているので、大いに助かったといわれている。
 どの時代であったかは不明であるが、写真、絵図、板絵、碑銘、拓本などは「山口県立博物館」に移管されている。したがって本書掲載の史料は三分割され、山口県立「図書館」「文書館」「博物館」それぞれの骨格となったのである。
 私は父が県立山口図書館に勤めていたこともあって、中学生の頃これらの目録を家の書庫で見つけ、折にふれ繰り返し読んだ。本書のおかげで山口県史料の基本をつかみ、その奥行きと広がりを知ることもでき、その恩恵は計り知れない。長じてからも、この目録を見るたびに自分の無知をまざまざと思い知らされ、長生きしなければと思うのであった。
 刊行後七十余年。今や本書の存在を知る人は少なくなったが、早急に復刻し、大いに活用してほしい本の一冊である。
(本書パンフレットより)