三卿伝編纂所の史料で描く、名将元春の生涯
吉川元春
 瀬川 秀雄
 マツノ書店 復刻版
   1997年刊行 A5判 上製函入 608頁 パンフレットPDF(内容見本あり)
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『吉川元春』 略目次
第一編 元春の相続に至る吉川氏史概説
  第一章 応仁乱後における中国の形勢
  第二章 吉川氏の祖先と元春の相続

第二編 元春の経歴
 第一期 元就の武将として活動せる時代
  第一章 毛利氏の芸備両国の征服と元春の活動
  第二章 毛利氏の防長両国の征服と元春の任務
  第三章 毛利氏の石見征服と元春の活動
  第四章 毛利氏の出雲征服と元春の活動
  第五章 元春の四国九州出征と山口動乱の鎮定
  第六章 元春の出雲出征

 第二期 輝元の補佐として活動せる時代
  第一章 毛利両川と織田氏との関係
  第二章 毛利両川と織田氏との衝突@
  第三章 毛利両川と織田氏との衝突A
  第四章 元春の晩年とその逝去

第三編 元春の人物
  第一章 元春と武勲
  第二章 元春の勤皇
  第三章 元春の敬神崇佛とその文才
  第四章 元春への教訓状と元春の訓言

付録
吉川元春年譜・吉川氏系図・毛利氏略系・小早川氏略系・尼子氏略系


本書「序文」より
 吉川元春は、戦国時代まれにみる文武兼備の良将で、毛利元就・輝元の真の補佐者として、中国制覇の大業を完遂せしめた偉勲には、実に千載不滅というべきものがある。しかるに今日に至るまで、未だ伝記のみるべきものなきは、まことに遺憾の極みである。
 予は戦国時代における中国史専攻の一学徒として、その伝記の編成に着手すること多年、各方面より確実なる根本史料を採訪収集し、これを中国各地域の実地踏査によりて得たる的確なる地理的基礎の上に活用して、ここに本書を編纂上梓するに至ったものである。
 すなわち第一編には、元春の相続に至るまでの吉川氏史の梗概を、第二編には、元春の卓絶せる戦歴を記述し、さらに第三編には、人間元春の風貌を遺憾なく発揮するために、元春を百戦錬磨の老将として、あるいは勤王家として、あるいは神仏の崇敬者、禅学の達人として、あるいは文学の愛好者として、あるいは家庭人として等、あらゆる角度より広く観察して、批評を加えつつ、きわめて平易暢達にこれを叙述せんと期し、しかも史実には明快なる論断を下すことに腐心した。
 もし本書の公刊によって、多少なりとも学会に貢献し、広く国民の史的教養の高揚に寄与するものあらば、予の本懐これに過ぐるものはない。