名著『防長回天史』の著者末松謙澄が『防長回天史』の史料として、
伊藤博文・井上馨両公から直接聞いた生の声を公開
伊藤井上二元老直話 維新風雲録
 末松 謙澄
 マツノ書店 復刻版 *原本は明治33年
   1994年刊行 A5判 並製(ソフトカバー)函入 248頁 パンフレットPDF(内容見本あり)
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『伊藤井上二元老直話 維新風雲録』 目次
 ■伊藤公応答
内田満之助屠腹の顯末
大橋順蔵に関する件
塙検校を暗殺せんとするの企
彦根藩偵察事件
長井雅楽暗殺計画の件
長藩諸有志の状態
神奈川に於て異人惨殺の計画
来原良蔵割腹の事情
水戸浪士を京都へ連れ行きし顛末
伊藤井上其柚洋行の顛末
洋行支度の件
伊藤井上英国より帰朝の顛末
横浜帰着の時日及各国公使等と談判の顛末
中岡慎太郎激論の状
清水清太郎の談論
和議の顛末
馬関挙兵の状
長藩内訌の結局
高杉伊藤にわかに洋行を企つ
高杉井上の脱奔
水戸の帰藩
幕府の留学生
英国へ留学の嚆矢
諸名士気風の相違
浅田公輔蟄居の顛末
来島の牲行
真木和泉と中村
高杉久坂中村等の関係
南八郎屠腹の状
京都に於て将軍刺殺の企
高杉西郷会見の有無
高杉軍艦三隻略奪の件
高杉俗論打撃の檄文
諸隊の状況三氏洋行後の政府
伊藤岩国行の件
林朴庵及武器購入の件
林朴庵に邂逅の件
岩国々情偵察の件
木戸孝允帰藩の状
英国公使パークス氏新任来朝の件
洋銃購入に託し薩摩と連合を図るの件
楠本文吉と長崎へ同行の件
軍艦を海援隊に貸与の件
軍艦購入に関する件
毛利父子仏国東洋艦隊司令官と三田尻に於て会合の件
維新の際英仏我国に対する態度
京都視察の件
京都に於て西郷に会合の件
木戸公と長崎へ同行の件
大政返上論の件
英人重井鉄之助の件
英艦に乗組及英学校創設
和議以来英人と親密の件
外交着手の件
闔藩開国論に傾く件
勝海舟広沢と会合の件
勝海舟和睦論失敗の件
木戸孝允慶喜公を寛典に処する主論者の件
藩論伊藤を退身せしめんとするの状況
薩摩の名義を借りて直接洋銃を購求するの件
長崎薩摩邸に寄寓の件
井上薩摩に赴くの件
薩長連合の件
国是建自の件
胡蝶丸を以て洋銃輸送の件
日置帯刀神戸に於て外人に発砲の状況
外交善後の処置
新政府設立の宣言
耶蘇教の件
壮士英公使の警護に切込む件
四境戦争の際の行動
癸亥丸の件
高杉と共に洋行を企つる件
横浜へ使命の件
王政復古論主唱及び京都暴発
近藤昶一郎の顯末

 ■井上伯応答
四カ国連合軍馬関攻撃猶予の件
外国軍艦に乗り姫島に赴くの件
四カ国公使の書翰政庁に出さざる件
政庁に於て外国の事惰を詳述せし顛末
外国の事情と防長の状況
大いに開国論を君前に述ふ
連合軍艦へ返答の顛末
和戦激論の顛末
井上高杉伊藤三人小郡に於て防戦
井上死を決す
和議後の混雑
幕府征長の師を興す
俗論勢を得
世子の密書
俗論打撃の計画
麻田の割腹井上の遭難
高杉兵を興して俗論等を襲ふ顛末
高杉伊藤の洋行企図を助くるの件
井上博徒に混して幕情を偵察す
身を変して豊後に入る
高井伊三氏俗論派に嫉視せられるる件
井上鹿児島に赴き大久保等と連合の地歩を作る
西郷等長州に来遊の件
小松帯刀井上を伴て薩摩に下る
勝海舟芸州宮島に於て広沢と和議を講す
水師提督キング氏毛利公会談の件
井上英艦に於て倒幕尊王の利害を説く
薩長連合は坂本龍馬石川誠之助の斡旋による
薩長連合密約の顛末
幕府大政奉還及伏見開戦の顛末


▼本書は明治三十三年十月、東京の哲学書院より刊行され、現在では稀襯本となっているものである。
▼目次でわかる通り本書の内容は維新史全般におよび、多くの事件が取り上げられている。そして高杉晋作、久坂玄瑞、桂小五郎、坂本龍馬などの主要人物も随所に登場し、その事件が維新の当事者によって生々しく語られており、読み物としてもこれ以上のものはない。
▼末松はこの回顧録から、史料による「裏付け」のとれる部分を『防長回天史』に採用したと思われるが、残された中にも、明治維新という希有の時代を知るための多くのエピソードがちりばめられている。
▼維新元勲の回顧録には、内容が整理され、美化され過ぎて、一編の「物語」に仕上げられたものが多いけれども、本書の編者末松謙澄は、自分の質問と伊藤・井上の回答にできるだけ手を入れず、速記録をそのまま活字化している。
▼末松がこの回顧談を、まるでテープレコーダーに録音するかのように忠実に残してくれたおかげで、一世紀を経た今なお、私たちは、幕末動乱の渦中を駆け抜けた志士たちの生の声に接することができるのである。